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トヨタ・クラウンセダン終了検討について考える

time 2020/11/13

トヨタ・クラウンセダン終了検討について考える

いつかはクラウンの栄光はどこへ

先日、中日新聞の報道が切っ掛けとなって、車界隈を賑わせたニュース。

それは、トヨタ・クラウンのセダンを終了するかもしれないというもの。

記事はコチラです↓

クラウンセダン生産終了で調整 トヨタ、22年に新型投入:中日新聞Web
トヨタ自動車は、高級車「クラウン」についてセダンの生産を現行型で終了し、スポーツタイプ多目的車(SUV)に似た車形の新型車として二〇二…

トヨタの看板車種であり、ヒエラルキーの頂点に君臨し続けたクラウン。

「いつかはクラウン」

そう呼ばれた名声も過去のものとなり、このセダン受難の現代にあって、とうとうこのビッグネームにも変革の波が押し寄せてしまったと、多少感傷染みた思いを抱かざるを得ない。

何故、この様な事態になってしまったのかを自分なりに考えてみたので書いていきたい。

 

 車のスタンダードがSUVへシフトした

この所、猫も杓子もSUVという時代になって若干食傷気味ではあるが、世界的にみてSUVが大ブームであるのはご周知の通り。

国内のセダン市場はこの煽りを受けモデル廃止が相次ぎ、一時期は百花繚乱だった各メーカーのセダンラインナップが、今や見る影もないほどだ。

 

SUVブームの発端は?

このブームはいつが発端なのかと自分なりに探ってみると、もしかすると1994年のトヨタRAV4の登場ではないか、と言う気がしている。

それまで車高の高いオフロード指向の車と言えば、Jeepやパジェロ、ランクル等に代表されるオフロード走破性を高めたクロカンモデルがほとんどで、特に日本ではヨンク(四駆)と呼ばれ、バブル後期からブームとなり、鬼のように売れたのが思い出される。

先日惜しまれつつも終売した三菱パジェロが月に1万台も売れていたのだから、そのブームたるや恐るべしである。

しかし、国内ではバブル崩壊と共に燃費が悪いクロカン四駆は敬遠される様になり、一気に需要がしぼんだ。

その後、日本では1994年に発売されたオデッセイを皮切りにミニバンブームが到来するのだが、これについては後述するので今は割愛する。

そしてこのオデッセイ発売と同じ年に発売されたトヨタRAV4である。

オフロード性能はほぼ捨てて、オンロードでの快適性を重視したSUVであった。

そして、これが売れた。

海外でもRAV4はウケ、オンロードSUVと言うジャンルを作ったのはRAV4ではないかと感じている。

そして、これに影響されたかどうかは分からないが、ホンダはクリエイティブムーバーと称したシリーズで、同様のコンセプトのCR-Vを売り出す。

先の四駆ブームの頃は売る車がなく、いすゞからOEM提供を受けるほどだったホンダだが、オンロードなら任せろと言わんばかりの出来で、これもヒット作となった。

このオンロード特化型のSUVの登場で、世の人は、別に年中オフロード走るわけじゃないし、普段のオンロードで快適で、ちょっとアウトドアで使える逞しさを持ったSUVに心を奪われたのではないかと思う。

そして続く1997年にトヨタはハリアー(レクサスRX)を投入する。

オンロード指向のSUVに高級という概念を持ち込み、これが大ヒット。

海外ではこれが発端となりSUVブームが始まる。

もう20年以上前の話である。

何しろ、この成功を受けて2002年にはあの世界的なスポーツカーブランドであるポルシェが、初のSUVとしてカイエンを発売したのだから、これは本当におったまげた。

この頃日本はと言うと、オデッセイ発売から続くミニバンブームが我が世の春を謳歌しており、SUVが今ほど注目されることはほとんど無かったが、近年そのミニバンブームも収束し、ようやく世界のトレンドであるSUV人気が高まってきた感がある。

 

クラウンがアルファードに代替されたわけ

世界的な潮流はさておき、クラウンは日本市場専用車であり、売れない理由は国内の事情が大きく関係していると考える。

よく言われるのが、アルファードがクラウンの代替として台頭してきたというもの。

アルファードもまた日本専売モデルでトヨタ最高級ミニバンとして君臨しており、クラウンと形は違えど、そのカテゴリー内ではクラウンと同じ立ち位置を担っていると言えるだろう。

そして実際の販売台数であるが、自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計によると、直近10月のブランド別販売台数順位を見ると、アルファードはなんと10,093台も売れ、ランキングでも5位に位置している。

クラウンはと言うと2,129台の29位でビッグネームとしては大変寂しいものだ。それでも前年比123.6%なので、昨年はもっと少なかったという事になる。

これがクラウンを代替した結果なのか、この数字だけでは判断出来ないが、明らかにクラウンよりアルファードの方が売れている事が分かる。それも僅差レベルではなく5倍近い圧倒的な差である。

また、これはあくまで体感だが、よく東関道などを走っていると事業用ナンバーを付けたアルファードをよく目撃する。他のミニバンではほぼ見られない事を考えると、ハイヤー等としてクラウンを代替しているのは少なからずありそうだ。

では、何故クラウンからアルファードへの代替が進んだのか、仮定の域は出ないものの原因を考えてみた。

 

何故セダン離れが起きた?

そもそもセダン自体が売れなくなっているのは間違いない。

前出のブランド別販売台数を見ると、セダンは50位以内に以下の4車種しか入っていないうえ、ハッチバック等の派生モデルを含まない純粋なセダンはクラウンとカムリだけだ。シビックに限れば、セダンは2020年8月にモデル廃止されているので、ほぼハッチバックの数字だろう。(プリウスは個人的に5ドアハッチバックと思うので除外)

4位 カローラ(含ツーリング等) 10,275
29位 クラウン 2,129
36位 MAZDA3(含ファストバック) 1,380
40位 カムリ 1,086
42位 シビック(含ハッチバック) 949

 

ちなみに90年代頃には、トヨタのマークⅡ三兄弟(クレスタ/チェイサー/マークⅡ)だけで、それぞれ月に10,000台くらい売れていた。今はそのマークⅡ改めマークXもモデル廃止となり、中型FRセダンというカテゴリ自体が完全に消えているのだから時代は残酷だ。

では何故セダン離れが進み、SUV(や他のカテゴリ)が台頭してきたのか?

それは、日本国内に限って言えば、90年代中盤から発生したミニバンブームが大きな要因だと考える。

ではまず何故ミニバンブームが到来したのか。

 

ミニバンブームは何故起こった?

セダンはそもそも海外で登場したカテゴリで、戦後日本の自動車メーカーが車を生産し始めた頃、まずは海外の車を真似てセダンを作り始めた、と言うのが簡単な理由だろう。

高度経済成長期に入るとモータリゼーションも一気に進むが、それを支えたのは所謂「団塊の世代」である。

彼らが車を購入し始めた頃の年齢は20代~30代。

それまで家庭にマイカーなど皆無な時代に育った彼らは、庶民の最初のマイカーオーナーとなった。

もちろん、圧倒的にセダンばかり。

そして、団塊の世代は結婚し所帯を持ち始め子供をもうけた。

この子供達が「団塊Jr.」と呼ばれる戦後の人口ピラミッドにおけるもう一つのピークである。

そして行楽等のお供として、団塊Jr.はマイカーのセダンに乗せられ育つのである。

そして高度経済成長期を過ぎ、80年代後半よりバブル景気に差し掛かるわけだが、90年代にもなると団塊Jr.達も免許を取れる年齢となり、車を購入するようになって来る。

そこで、団塊Jr.が選んだ車は、セダンではなくミニバンだったのだ。

自分も団塊Jr.として、初代ステップワゴン(RF1)を購入している。

では何故、セダンではなくミニバンを買ったのか。

それは団塊Jr.に共通するであろう、子供の頃の苦い経験があるからだ。

セダンでの旅行は厳しい。

まだ物品税があった時代、多くの庶民が買える車は5ナンバーだった。

ドライブに行くとき、運転席に父親、助手席に母親。

子供達はもちろん後席に座る事になる。

しかし5ナンバーセダンの後席は狭い。

自分は男3人兄弟だったが、まさにすし詰め状態。

これで秋田~兵庫の一般道を頻繁に走破するとか、ちょっと考えられないくらいの苦痛を体験している。

団塊Jr.は3人兄弟とか割と普通であったうえ、当たり前ながら年々成長し、中学生や高校生になる頃にはとても許容できないくらいの苦痛を伴うことになるのだ。

恐らく団塊Jr.の多くの人が、同じような経験を積んだであろう。

そして、この反動がミニバンブームへの足掛かりになったと自分は考えている。

実際に自分がステップワゴンを購入した一番の理由は、とにかくその広さに惚れたからだ。

こんな広い車があるんか…。

今は廃止されてしまったが、当時は回転対座シートの設定があり、座席を向かい合わせにして撮影された写真で心は完全に虜になってしまった。

もう、大人数でもあんな狭い空間に閉じ込められる事はないんだ。

これで友人達と快適にドライブ行けるんだ…。

しかも、値段も安かった。

自分が新車で最初に買った初代ステップワゴン・ホワイティーは、

乗り出しで210万円

当時のサラリーでも難なく購入できる金額だった。

おそらく多くの団塊Jr.が同じような理由でミニバンを購入したに違いない。

また直接ミニバンとは関係ないが、当時ホンダのミニバンが売れまくった理由も、団塊Jr.達がホンダ第二期F1の圧倒的な強さに酔いしれていたから、とも考えている(自分もそうなので)。

 

そしてSUVへ

さて、現在2020年。

団塊Jr.達はアラフィフとなり、子供を持つ人も子育てが終わる時代となった。

子供を乗せてどこかへ行くという機会が無くなってくると、今度は夫婦だけの車を購入するようになる。

そこには沢山の選択肢があり、ダウンサイジングでコンパクトカーへ流れる人、憧れのスポーツカーに流れる人もいるだろうが、やはりSUVへの流入が一番多いのではないだろうか。

そして、残念ながらそこにセダンの選択肢はないのである。

前述の通り、もう団塊Jr.達は狭い車内がトラウマとなっており、セダンは完全にアウトオブ眼中なのだ。

そしてSUVに乗り換える。

何故ならば、ずっとミニバンに乗ってきたので、目線の高いドライビングポジションからもう離れられないのだ。

勿論ファミリー臭がするのは嫌、走行性能もある程度欲しい、年齢相応のフォーマル感と高級感が欲しいとなると、カッコよいSUVへ流れるのは必然であろう。

そして、アラフォーアラフィフの購買力は他の年齢セグメントに比べると高い。

つまり、今の日本国内におけるSUVブームは団塊Jr.のミニバンブームからの流れで発生し、彼らが支えている、と自分は考えている。

 

そして誰もいなくなった

そしてクラウンである。

セダン受難の時代であるうえ、アルファードへの代替も始まっている。

団塊Jr.が社会的な地位を確立し始めた今、社用車等で彼らが選択するのはやはりミニバンなのだ。

そして、団塊の世代達も高齢化が進み、ヒンジドアで着座位置の低いセダンへの乗り降りは、かなりの困難を伴う事になる。

そう考えると、ある程度社会的地位のある人は、その送迎等にアルファードを選択すると言うのも頷ける。

そして、かつてクラウンを買い支えた団塊達は、既に免許を返納する時期になっており、あのフワフワで雲の乗って移動するかの様なジャパニーズセダンは、完全に居場所を失った。

トヨタも、ゼロクラウンから団塊Jr.をターゲットに据え、スポーツ性を高めるなど色々と試行錯誤をして来たものの、残念ながら全く彼ら(僕ら)の心に響いていない。

最新型はニュルブルクリンクで鍛えた、と謳っているが、既に誰もそれをクラウンに求めていないのである。

自分も団塊Jr.であり、トヨタが想定するクラウンのターゲットセグメントであるわけだが、全く響かない。

ニュルで鍛えたスポーツセダンなら、ドイツ御三家を筆頭にクラウンではない選択肢が沢山あるし、トヨタには同胞レクサスもある。

かくして、クラウンはその存在価値を完全に失ったのである。

また、団塊Jr.達の更に次の世代である「団塊の孫世代」も既に免許を取得出来る年齢に達し始めているが、彼らはミニバンで育った世代だ。セダンへ回帰する事も恐らくないだろう。

 

SUVとして復活?

ニュースはまだセダンとしてのモデル廃止を検討中と言う事なので、決定事項ではないのだろうが、販売台数から見ても恐らくセダン型のモデル廃止は間違いないだろう。

しかし、だからと言ってSUVにしてしまうのはどうなんだろう。

ハリアー自体がクラウンのSUV版的な立ち位置におり、そことの差別化をどう図るのか。

勿論、同胞レクサスにもSUVは沢山ある。

そしてクラウンは日本専売モデルであるから、あくまで日本的なエッセンスを盛り込んだものになると思われるが、そもそもゼロクラ以前のクラウンの乗り味や内外装を好む層は団塊の世代であり、例えSUVになったとしても居場所はないように思えるのだが、どうなることやら…。

 

 

 

 

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プロフィール

酒粕GT

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お酒と車が好きな酒粕(sake + cars)GTです。 頻繁に料理を作り、お酒を飲んで居ます。 休日は車でドライブやグルメ巡り。 車は小さい車(特に軽自動車)、MT、オープン、後輪駆動が好き。 ある時はサーキットでスポーツ走行、ある時は林道を駆け抜け、ある時は海辺をオープンでドライブ。 全ての駆動方式をコンプリート。 8台の車を所有。

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